道心坂再生プログラム

~下田郷と三条をむすぶ古への道~

道――それは、ひとが、時間ときをかけて空間をつなげ、人と人とを出会わせ、人々の営みを創りだすための大切な場所です。

遥かなるいにしへより、人はいつしか、意図することなく、あるいは作為として、「道」を創りだしてきました。

三条市はいま、国があらたに切り拓く国道、福島へとむすぶ道「八十里越え」を側面から支援し、その魅力と可能性を伝えることに力を注いでいます。

しかし、三条市民が忘れてはならない道があります。それが、八十里越えにつながる道の一つ ――「道心坂どうしんざか」です。

 

かつて、その地に力をそそぎこんだ人たちがいました。

下田しただ郷へ通じる近道、「道心坂」の道を拓き、人々から喜ばれたと伝えられる道心もの常閑じょうかん(墓名/白翁はくおう常閑沙弥しゃみ)。※道心者とは仏道の修行僧を意味します。

月岡の有志、15、6人とともに、この風光明媚な地を三条市民の憩いの場にしようと「道心坂観光協会」を設立し、三条ロータリークラブやライオンズクラブなどから協力をえて、3棟の休憩小屋の建設、桜70本の植樹、歌の制作など、精力的に取り組んできた故西村日子三郎ひこさぶろうさん。

道心坂一帯を自然公園としての活用を図る構想を持ち、4キロメートルにわたる林道を拓き、オオヤマザクラ1000本を植え、見附葛巻の大庄屋・渋谷家の「長屋門」を移築した故川俣芳衛さん。

それら先人の想いをうけて、ノジコの会初代会長、関根依智朗さんは、オオヤマザクラ1000本の再生保全と、この地の魅力を発信しようと尽力してきました。

いっぽうで、日本の社会は、戦後の復興を経て、さらなる高度成長を続け、世界でもっとも憧れ、注目される国の一つになりました。しかしながら、バブルの崩壊とともに、人々は希望の光を見失い、やがて押し寄せてきたグローバル社会、情報化社会の進展と、経済の優先、徹底した合理化、効率性の追求によって、人々の疎外感・孤立化を生んできたといわれています。

それらへの反動か、少しずつではありますが、日本の伝統や文化、自然といった古きよきものへの関心が深まってきています。里山、自然、古民家、古い街並み、手作りの道具、品々、手間のかかる農法。そして、ひとびとのきずな

それはけっして「経済至上主義」の世の中ではなく、私たちが次代につなぐ「ふるさと」といった、心に残る「たからもの」を大切にする社会環境を創りだし、次代に残し、伝えていきたいといった「想い」=「理念」の社会にほかなりません。

それらを具現する場はいたるところにあるはずです。その一つが「道心坂」です。

かつての先人たちの「想い」のこもったこの地を、再びよみがえらせ、市民の憩いの場に供する必要があると思います。そのためには、いま私たちがなすべきことを考え、互いに連携しあいながら、それにむかって行動していきたいと考えています。

道心坂再生プログラムの骨格

■□□オオヤマザクラ1000本並木の保全とオオヤマザクラ自然公園の創出

■■□長屋門の再生~ビジターセンター的機能を

■■■常閑古道の復元

詳しくはこちらまで。

■■□長屋門再生プロジェクト

「道心坂の長屋門」の由来

「道心坂の長屋門」は今から184年前の1838年(天保9)年に、葛巻組(現・見附市)の大庄屋を務めた渋谷家によって、同所の傍所町(ほうじょまち)に建てられたものと記録されています。

渋谷家は寛文(1611~1672)の頃から代々傍所村の肝煎を務め、寛政5年(1793)年に名字帯刀を許され、翌6年見附組大庄屋、同9年葛巻組大庄屋を仰せ付けられ、以後、明治維新まで代々の当主が葛巻組大庄屋を務めた由緒ある家柄です。

当代は代々権之助を名乗りましたが、天保8年(1837)、当時の当主・重建が御用金200両を奉った際、村松藩主・堀直央(なおひで)は日頃の精勤とあわせてこれをよしとしてほめたたえ、御本陣(藩主が旅の途中休泊する宿)を申し付けるとともに、門の建立を許したものです。

翌9年、渋谷家において「御本陣に相応しい構えのもの」として、この門が建てられました。

以来、140年の風雪に耐えてきたこの建物も老朽化が進み、昭和54年、渋谷家において解体・取り壊しの話が持ち上がりましたが、往時の文化をしのぶ結構(建造物の構造)が失われることを惜しむ声がたかまり、葛巻農協組合長であった渋谷仁六郎さんのあっせんによって、故・川俣芳衛さんが当時のすがたのまま道心坂の地に移されたとされています。

解体時、天井裏から棟札と由来書の木札が発見されました。由来書には重建がこれを建てる旨、そして棟梁志田杢左衛門および桜井茂兵衛の名が記録されています。

棟札は渋谷家の菩提寺である総持寺(現・見附市元町)の住職・宥栄師の筆によるものとされ、現物は見附市教育委員会に寄附され、複製(原寸大/総持寺住職・覚栄師書)が川俣家に引き継がれています。

(以上、昭和55年3月、当時の見附市教育委員会社会教育課長が記した「渋谷家の門」を参考にしました)

 

〈長屋門再生プロジェクトとは〉

川俣さんは道心坂一帯を自然公園としての活用を図る構想を持ち続け、その一環としてこの長屋門の移築もなされたようです。しかしながらこの建物は、その後利活用されないまま現在に至っています。

平成25年度(2013)に三条市歴史的建造物調査が実施され、同建物の調査にあたった長岡造形大学の平山育男教授によって「当初の規模と形式をよく踏襲し、大庄屋の遺構に相応しい建物である」と評価されたもので、「国の登録有形文化財」に値する建築物と考えられています。

しかしながら、特にここ数年の豪雪、風の被害等によって庇の一部が破損し、屋根瓦の一部が崩落するなど少しずつ老朽化が進んでいます。

このままだと貴重な文化遺産が失われてしまうことになりかねません。

当会では〈Stage1〉として屋根を修繕して「国の登録有形文化財」として登録し、その後〈Stage2〉としてリノベーションして、道心坂の「ビジターセンター」機能を付けた建物として再生し、市民の皆さんから憩い、楽しんでいただける公益性のある施設に利活用したいとするものです。

 

〈Stage1 屋根瓦修繕〉

――瓦修繕の募金をお願いします――    令和4年5月31日でこの募金は終了しました⇒こちら

リノベーションの第一弾〈Stage1〉として、「屋根瓦修繕」を行います。

工事の予定は令和4年4月から6月末頃までを予定しています。

この工事に要する費用を募金でまかなう予定で、皆さんからお力をお貸しくださるようお願いいたします。

〈募金〉

募金は「瓦募金」「プロジェクト募金」の2種類があります。

「瓦募金」はお一人1枚1,000円で、募金くださった方のお名前を「瓦裏面」に記入させていただきます。

(なお、修繕枚数(1,000枚)に達したときの記入は先着とさせていただきます)

「プロジェクト募金」は、このプロジェクトに賛同、支援してくださる企業・事業所・団体や個人の方で、2,000円以上でお願いしております。

「プロジェクト募金」のほうに募金してくださった方は、建物内に掲げる「御賛画板」にお名前を記載させていただきます。

募金は、片方1種類でも、また2つの種類を組み合わせて募金くださっても結構です。

(例:「瓦募金」1,000円と「プロジェクト募金」2,000円  計3,000円)

なお、いずれの募金も、お名前は連名でも構いません(ご夫婦、親子、祖父母・孫などのご家族としても募金していただけます)。

「国の登録有形文化財」の取り組みにかかわった一員として名前を残しませんか。きっと後世の誇りとなることでしょう。

〈募金目標金額〉

250万円以上。

[内訳]

「瓦募金」 100万円(瓦1,000枚×1,000円)

「プロジェクト募金」 150万円以上

 

〈募金の申込〉

①お振込みいただく場合

下記の事務局あてに、メールまたはFAXで「お名前」「募金の種類と金額」を申し込んでください。※振込みの場合、お名前の「カタカナ」しか判らないためです。

住所は市町村名までお願いできればありがたいです。また、電話番号、メールアドレスなどは任意です。

[ノジコの会事務局]

メールアドレス k-shizu@soho-net.ne.jp

FAX 0256-38-9027

  • 次の振込先に募金金額を振り込んでください。

振込先  三条信用金庫 本店 普通預金

口座番号 8505249

口座名  ノジコの会 会長 宗村里士

※なお、おそれいりますが、振込手数料はご負担をお願いいたします。

②お振込み以外の場合

ノジコの会の会員をご存じであれば会員宅へ、または、次の各店でも取り扱っておりますので、おそれいりますが、ご持参いただければ幸いです。

◆「婦人館知野」

〒955-0852    三条市南四日町1丁目13-8 (三条勤労青少年ホーム「ソレイユ三条」の斜め前付近)

電話 0256-33-1070

◆「スポーツサイクル サカモト」

〒955-0842  三条市島田1丁目2-14

電話 0256-32ー5348

◆「K2 JUGON」(ケーツー・ジュゴン)

〒959-1264   燕市八王寺1428

電話 0256ー63ー2162

「長屋門再生プロジェクト stage 1 屋根瓦修繕」パンフレットはこちら

『三条市歴史的建造物調査報告書Ⅰ』(2016/三条市)抜粋「川俣家住宅長屋門」はこちら

大正時代初めに撮影された長屋門の記事(2019.11.21新潟日報)はこちら

動画「道心坂の長屋門」はこちら

動画「長屋門再生プロジェクト」はこちら